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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第25章 花
 そういう意味では、思い切って聞いて良かった。

 自身が起こしたかもしれない失態を想像し、ほっと胸を撫で下ろす。それと同時に、少しずつ自分の気持ちを出すことが出来るようになっていることが、少し嬉しかった。

(魔王様やアンジェラさんが望んだように、自分を出せるようになっていたらいいのだけど……)

 そんなことを考えながら、カップの中の茶に口を付けた。
 良い香りが口内にふわっと広がり鼻腔を突き抜け、心を穏やかにしてくれる。

 アンジェラの入れてくれるお茶は、とてもおいしくて大好きだった。
 仕えるべき主がカップを口に運ぶのを見つめながら、アンジェラが思い出したように手を打った。

「そうそう、フィーネ様。もし宜しければ、本日の湯あみは城の大浴場にお越しになりませんか?」

「え? 城の大浴場……ですか?」

 元気を取り戻したアンジェラの言葉に、フィーネは不思議そうに首を傾げた。
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