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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第25章 花
”……この花はお前のために"
(……魔王……さまの……声?)
いつも抱きしめながら耳元で甘く囁く声色と、よく似ている気がする。気のせいだと一蹴するには、あまりにも生々しい声だった。
どこかでそんな会話をしたのだろうか、と記憶を探ったが、思い当たる節はない。急に黙り込んでしまったフィーネに、アンジェラが心配そうに声を掛ける。
「フィーネ様? いかがなされましたか?」
「……え? あ、申し訳ありません。ちょっと、ぼーっとしてしまって……。そっ、そうですか。この花はピアチェというのですね。女神様の御名を付けられるとは、魔王様も信仰深い方ですね」
「……え、ええ、そう……ですわね。それではフィーネ様、湯あみの支度をしてまいります。ピアチェの花風呂、楽しみになさって下さいませね?」
そう言うとアンジェラは、花かごを抱えて部屋を出て行った。
一人残ったフィーネは、先ほどのアンジェラの言葉を思い出していた。
(……魔王……さまの……声?)
いつも抱きしめながら耳元で甘く囁く声色と、よく似ている気がする。気のせいだと一蹴するには、あまりにも生々しい声だった。
どこかでそんな会話をしたのだろうか、と記憶を探ったが、思い当たる節はない。急に黙り込んでしまったフィーネに、アンジェラが心配そうに声を掛ける。
「フィーネ様? いかがなされましたか?」
「……え? あ、申し訳ありません。ちょっと、ぼーっとしてしまって……。そっ、そうですか。この花はピアチェというのですね。女神様の御名を付けられるとは、魔王様も信仰深い方ですね」
「……え、ええ、そう……ですわね。それではフィーネ様、湯あみの支度をしてまいります。ピアチェの花風呂、楽しみになさって下さいませね?」
そう言うとアンジェラは、花かごを抱えて部屋を出て行った。
一人残ったフィーネは、先ほどのアンジェラの言葉を思い出していた。