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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第28章 大浴場③
 必死で理性の決壊を堪えながら、胸を愛撫する手を制するように、自身の手を重ねた。それ以上の動きを許さないように、魔王の指の間に自分の指を絡ませながら。

「も、もう……これいじょうは……声を抑えられない……だから……もう……」

 これ以上の行為を拒絶する一方、身体は男を求める熱を帯び、無意識のうちに彼と重なる指の間を、つつっと自身の指がなぞった。

 まるで自身の言葉を否定し、そのまま無理やり奪って欲しいと訴えるように。

 求めたいと言う気持ちと、醜態を第三者に晒したくないという気持ちが、フィーネの心をぐちゃぐちゃに掻き回す。
 
 その時、軽い笑い声が響き渡った。
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