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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第33章 女神と魔王②
 彼女の言葉に、魔王の瞳が軽く見開かれた。
 主が驚く様を感じながらも、フィーネは言葉を続ける。

「アンジェラさんからお聞きしました。魔族たちは、一部を除いて、人間による侵略戦争を知らないのだと。それは戦争によって起こる、魔族皆さんへの心理的負担防ぐためだと」

「そう……だな」

「今まで不思議だったのです。ならば、一体誰が人間たちを撃退しているのかと。私がサテアナ国にいた時、よくディザニア国に出兵したと聞いていたので。あの結界が人間たちの侵入を防いでいるのですね?」

 魔王は、どこか諦めた表情を浮かべながら一つ息を吐いた。

 彼が馬から降りたので、フィーネも馬から降りると近くの木につないだ。そして景色が良く見える場所に敷物を敷くと、座るよう魔王に促し、自分も彼の横に座る。

 彼が話し出すまで、少しだけ間があった。
 目の前の景色を映しながらも、意識はどこか遠くにあるように思えた。
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