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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第33章 女神と魔王②
 そして翠色の瞳を閉じ、ゆっくり見開かれるのと同時に口が開かれた。 

「あの結界は、確かに人間の侵入を防いでいるが、そこまで丈夫なものではない。しかし、結界に人間が近づけば私に分かる様になっている。結界に人間の反応があれば、私が瞬時に出向き、人間たちを追い払っているのだ」

「……ということは、あなた様お一人の力で、この国を人間たちから守っている、と?」

「そういうことになるな」

 結界を張ったのが自分だと言った時と同じような、いともあっさりとした返答だった。 

(あれだけの大軍を……お一人で……)

 確か噂では、魔王は自然の力を操るという。
 
 時には嵐を呼び、
 時には大地を隆起させ、
 時には水で満たして、

 様々な方法で、サテアナ軍を戦闘不能にしてきた。

 あまりに強大な力の存在に対し、畏怖すら覚えてしまう。

 その時、ふと魔王の言葉に引っかかるものを感じた。
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