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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第33章 女神と魔王②
「邪神ラファは消滅していなかったのだ。ラファは受肉したピアチェを見つけると、近くにいた一人の魔族に攻撃した。ピアチェはその魔族を咄嗟に庇い……死んだ。不老ではあったが、不死ではないからな」

「ピアチェ様が……死んだ? そ、それなら……何故魔族は生きているのですか? 何故世界はまだ無事なのですか⁉ ピアチェ様が亡くなったのなら……魔族も精霊たちも生きていけない。精霊たちが生きていけないなら、この世界は滅びているはず!」

「ピアチェは、守った魔族に自身の力を預けたのだ。魔族や精霊たちと繋がった、力の根源を……。だから今でも我々魔族は生きていて、世界も存続している」

 何故だか分からない。
 でも、フィーネの心の底から湧き上がる何かが、全ての答えを語っていた。

 ピアチェが守った魔族、
 力の根源を託した相手が一体誰なのかを。

「その魔族とはもしかして……魔王様。あなた様なのでは……」

 フィーネの手を掴む魔王の手に力が籠った。

 そして初めてフィーネと視線を合せると、ただ黙って一つ頷いた。
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