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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第35章 名前①
どこか子ども扱いされているように感じ、少しだけ唇を尖らせて反論する。
「で、ですが……侍女とはいえ、目上の方を呼び捨てにするのは……」
「分かっている。だから、人前では今までどおり呼ぶといい。だが……せめて二人きりの時は、名で呼んで貰えないか?」
「……魔王様が、それでいいと仰るなら……」
「フィーネ」
「あ……申し訳ございません……えっと……そ、ソル……」
恥ずかしそうに、そして彼を不快にさせないかと心配になりながら、フィーネは風で吹き飛びそうな小さな声で、魔王の名を呼んだ。
名を口にした瞬間、心の芯に触れる様なくすぐったさで一杯になった。
胸の奥がむず痒くてソワソワして、口元が自然とにやけてしまうような、そんな幸せに満ちたくすぐったさが。
弱々しすぎる言葉だったが、彼の耳にはちゃんと届いているようだった。
「で、ですが……侍女とはいえ、目上の方を呼び捨てにするのは……」
「分かっている。だから、人前では今までどおり呼ぶといい。だが……せめて二人きりの時は、名で呼んで貰えないか?」
「……魔王様が、それでいいと仰るなら……」
「フィーネ」
「あ……申し訳ございません……えっと……そ、ソル……」
恥ずかしそうに、そして彼を不快にさせないかと心配になりながら、フィーネは風で吹き飛びそうな小さな声で、魔王の名を呼んだ。
名を口にした瞬間、心の芯に触れる様なくすぐったさで一杯になった。
胸の奥がむず痒くてソワソワして、口元が自然とにやけてしまうような、そんな幸せに満ちたくすぐったさが。
弱々しすぎる言葉だったが、彼の耳にはちゃんと届いているようだった。