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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第36章 名前②
「何故? お前にも、私と同じ気持ちを味わわせたかっただけだ。続きは……城に戻ってからだ」

「そ、そんな……。あなた様の名を呼び、戸惑ったお姿が見たいという私の愚かな行為を、お詫びいたしますから……」

「だめだ。それに服を汚してしまうと、アンジェラがうるさいからな……」

 服を汚す、という言葉に、フィーネの顔が真っ赤になった。
 互いの体液で服が汚れてしまうことを、暗に示していたからだ。

 それにここは外。着替えなど、持ってきていない。

 情事後の汚れた姿でアンジェラに出くわしてしまったら、きっとソルが大目玉を食らうだろう。

 すっかり出来上がってしまった身体を抱きしめながら、フィーネは泣きそうになった。

 でも、全ては自分の身からでた錆。

 これ以上ソルを怒るような手間を、アンジェラにかけさせたくもない。

 潤んだ瞳を伏せると、フィーネは弱々しく頷いた。

「わかりました……がまん……いたします……」

「いい子だ、フィーネ」

 そう言いながら、ソルはフィーネを抱き寄せた。
 温かい身体が彼女を包み込むと、優しくも情欲に満ちた低い声が囁く。
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