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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第40章 拒絶③
 朝焼けだった空が昼の強い光へと変わる頃まで、フィーネは馬で走り続けた。
 
 目指しているのは、神秘的な輝き放つ光のカーテン。魔族の国ディザニアと人間の国サテアナを隔てる結界だ。

 ディザニア国の地図と少しの食料と水を持って、フィーネは城から一番近い結界を目指していた。

(結界を越えれば、サテアナ国に入ることができる)

 そうすれば、ソルと完全に離れることが出来る。

 聖女としての清らかさを失った今、聖地に戻ることは出来ない。どこかの町で生きていく術を見つけなければならない。

 世間を知らないフィーネにとって過酷とも言える状況だったが、

(ピアチェ様の代わりとして、あの方のそばにいるよりかは……)

 マシ、だとは最後まで心の中で呟くことはできなかった。

 代わりに、何度流れたか分からない涙が頬を伝う。
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