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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第44章 女神②
フィーネの目の前には、大きな花弁を開く真っ赤な花を、少し恥ずかしそうに視線を逸らして差し出すソルの姿があった。
彼の口が動き、聞き慣れた低い声が脳内に響き渡る。
「……この花はお前のために」
自分の前に立つソルのほうに向かって、フィーネではない白い手が伸ばされ、ピアチェの花を受け取った。
湧き上がる気恥ずかしさと喜びとともに、自分ではない誰かが、自分の口を借りて言う。
「ありがとう、ソル。とっても綺麗……」
フィーネの記憶にない光景のはずなのに、胸の奥が熱くなり、その熱が鼻の奥にツンとした痛みをもたらした。
視界がぼやけ、何かが頬を伝うのを感じる。
「フィーネ……その言葉は……私が昔、ピアチェに花を贈った時の……まさか前世の記憶が……」
想像の中の言葉を、無意識のうちに口にしていたらしい。
言葉を詰まらせるソルの震え声が、彼女の意識を今へと戻した。
彼の口が動き、聞き慣れた低い声が脳内に響き渡る。
「……この花はお前のために」
自分の前に立つソルのほうに向かって、フィーネではない白い手が伸ばされ、ピアチェの花を受け取った。
湧き上がる気恥ずかしさと喜びとともに、自分ではない誰かが、自分の口を借りて言う。
「ありがとう、ソル。とっても綺麗……」
フィーネの記憶にない光景のはずなのに、胸の奥が熱くなり、その熱が鼻の奥にツンとした痛みをもたらした。
視界がぼやけ、何かが頬を伝うのを感じる。
「フィーネ……その言葉は……私が昔、ピアチェに花を贈った時の……まさか前世の記憶が……」
想像の中の言葉を、無意識のうちに口にしていたらしい。
言葉を詰まらせるソルの震え声が、彼女の意識を今へと戻した。