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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第7章 魔王⑦
 その時、首筋に小さな痛みを感じた。
 自己嫌悪に陥っていたフィーネの意識が、今へと戻る。

 気が付くと、彼女の首元に銀色の髪が広がっていた。唇が鳴る音と共に、小さな痛みがまた走った。

 銀色は痛みを残していきながら、首筋から鎖骨、胸元へ移動していく。

 唇が離れた場所を見ると、白い肌に似つかわしくない赤い痕が付いていた。至る所につけられたそれが所有の痕だと気づき、身体と頭の中が熱くなる。

(嫌なのに……恥ずかしいのに……それなのに、この気持ちは……なに?)

 支配される屈辱の中に混じる、悦び。

 何故、こんな気持ちが沸くのか、フィーネには分からなかった。

 自身を犯している相手が、視界に映る。

 非難したくても罵りたくても、侵略者とは思えない優しく少し哀愁に満ちた表情に、何も言えなくなってしまう。

 代わりに、疑問が口を衝いた。
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