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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第7章 魔王⑦
「な、何故、そのような悲しい顔をなさるのですか?」
「……そんな顔をしているか?」
「私には……そう感じます」
フィーネ自身、何故彼の表情が気になってしまうのか分からなかった。
悲しそうに笑う彼を見ると、いつも罪悪感で胸が締めつけられる理由も。
自分を見つめる瞳。
触れる指。
冷静に見えるがどこか甘さを含んだ低い声。
力を与える道具として自分本位にフィーネを扱ってきた他の男たちと比べると、どこか様子が違うように感じたからかもしれない。
(まるで力を欲するわけでなく、人間の戦力を削ぐつもりでもなく、私自身が求められているような……)
だから、分からない。
魔王と名乗る男の意図が。
悲しそうに、自分を犯す男の気持ちが。
彼は答えなかった。
ただ少しだけ、ほんの少しだけ嬉しそうに口元を緩ませただけだった。
「……そんな顔をしているか?」
「私には……そう感じます」
フィーネ自身、何故彼の表情が気になってしまうのか分からなかった。
悲しそうに笑う彼を見ると、いつも罪悪感で胸が締めつけられる理由も。
自分を見つめる瞳。
触れる指。
冷静に見えるがどこか甘さを含んだ低い声。
力を与える道具として自分本位にフィーネを扱ってきた他の男たちと比べると、どこか様子が違うように感じたからかもしれない。
(まるで力を欲するわけでなく、人間の戦力を削ぐつもりでもなく、私自身が求められているような……)
だから、分からない。
魔王と名乗る男の意図が。
悲しそうに、自分を犯す男の気持ちが。
彼は答えなかった。
ただ少しだけ、ほんの少しだけ嬉しそうに口元を緩ませただけだった。