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第47章 脱走①

　監視役の彼女にとって、リリアはとても大切な存在なのだろう。

　その時、

「お前ら、まだそんなところにいたのか」

　憎むべき男の声が、廊下に響き渡った。
　
　振り向くと、ガーランドとラファがこちらを見下すように笑って立っていた。

　敵の登場に、フィーネはすぐさま無表情の仮面を被り、セイラムとリリアは、二人の前に跪くと頭を垂れた。

「おい、お前、セイラムの妹だったな。顔を上げろ」

　ガーランドの命令に従い、リリアが顔を上げる。

　リリアは少し困惑している様子だったが、フィーネには、何故この男が少女に声をかけたのか、ピンときていた。

　彼女を見つめるガーランドの視線が、女を見るそれだったからだ。

（この男……まさかこんな少女にまで手を付けようと！）

　酷い嫌悪感が背中を這い上がり、吐き気がこみ上げる。