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第47章 脱走①

　純粋無垢な少女が、身勝手な男の欲望に晒されるなど、到底許せるわけがない。

　ガーランドはそれ以上何もリリアには言わず、早くフィーネを連れていくように命令すると立ち去った。

「なんか勇者様……こわい……」

　二人が立ち去った後、リリアは恐怖を瞳に宿しながら、セイラムにしがみついた。

　そんな妹を、姉は強く抱きしめる。

「リリア、そんなことを人前で言っては駄目よ。勇者様は、私たちの生活を守るために、戦ってくださっているのだから……さ、あなたの仕事に向かいなさい」

「う、うん……そうだね！　お姉ちゃんも頑張ってね」

　リリアはセイラムの言葉に元気を取り戻すと、彼女に手を振りながら走り去っていった。

　そんな元気な妹の後ろ姿が消えるまで、セイラムはじっと見つめたままだった。

　不安と怒りが入り混じったような、表情を浮かべながら。