この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第60章 再会④
「フィーネ? フィーネか⁉」
突然聞こえて来た声に、ソルは咄嗟に立ち上がり叫んだ。鋭い視線を周囲に向けながら声の主を探すが、部屋の中の寒々とした様子は変わらない。
幻聴かと落胆したが、
『ソル、私の声が聞こえているのね?』
この言葉に、伏せた翠色の瞳が見開かれた。
今度は幻聴ではない。
彼の言葉に、ハッキリとした返答があったからだ。
心臓が激しく脈打ち、身体中の血が駆け巡る。こみ上げる期待が、呼吸を浅くする。
フィーネの申し訳なさそうな声色が聞こえた。耳からではなく、直接脳内に届けられたような不思議な声だ。
『……ごめんなさい、ソル。こんなにも遅くなってしまって。あれからもう五年も経っていたなんて……』
「謝るな、フィーネ。あの時、約束したはずだ。ずっと……ずっと待っていると……」
五年前、ラファとの戦いに向かう直前、彼女と交わした言葉を思い出す。
突然聞こえて来た声に、ソルは咄嗟に立ち上がり叫んだ。鋭い視線を周囲に向けながら声の主を探すが、部屋の中の寒々とした様子は変わらない。
幻聴かと落胆したが、
『ソル、私の声が聞こえているのね?』
この言葉に、伏せた翠色の瞳が見開かれた。
今度は幻聴ではない。
彼の言葉に、ハッキリとした返答があったからだ。
心臓が激しく脈打ち、身体中の血が駆け巡る。こみ上げる期待が、呼吸を浅くする。
フィーネの申し訳なさそうな声色が聞こえた。耳からではなく、直接脳内に届けられたような不思議な声だ。
『……ごめんなさい、ソル。こんなにも遅くなってしまって。あれからもう五年も経っていたなんて……』
「謝るな、フィーネ。あの時、約束したはずだ。ずっと……ずっと待っていると……」
五年前、ラファとの戦いに向かう直前、彼女と交わした言葉を思い出す。