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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第61章 これから①
 しかしいざそれを口にしようとすると、恥ずかしくて顔が勝手に熱を持ち出す。
 急に黙り込んでモジモジしている彼女を不審に思ったのか、ソルの顔が覗き込んできた。

「どうした、フィーネ? 他に何か言いたいことがあるのか?」

「あ、あの……」

 そこまで言いながらも、中々言葉が出てこない。フィーネの手を、ソルが励ますように強く握った時、心を決めて口を開いた。

「私は……この世界が大好きなの。だ、だから、私がいた証を……この世界に残したい」

「証?」

 単語を疑問形にして、ソルが反芻する。

 女神ピアチェとして、人間・魔族関わらず全ての者たちから崇められているのに、何を残したいのだと、不思議そうにしているのが伝わってきた。

「だ、だから……」

 フィーネの顔が、さらに熱を帯びる。
 ソルの手を強く握り返すと、両目をギュッと閉じ、上ずった声で言った。
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