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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第8章 魔王⑧
相手が人間に害をなす魔の者だと分かっていても、彼の手を振り払い死を選ぶことが、どうしても出来なかった。
(私は……知りたいんだわ。何故この人が、悲しそうな表情を向けるのかを……)
フィーネ自身を求めているかのような、優しさを見せる男の真意を。
突然、強烈な睡魔に襲われた。
自分の意思と反して、瞼が落ちる。
(まだあなたの名を……聞いていない……)
しかし、唇から言葉が洩れることはなかった。
ただ、
「フィーネ……乱暴にして、すまなかった……」
意識が途切れる瞬間まで、魔王の言葉を聞きながら、身体を抱きしめる温もりを感じていた。
(私は……知りたいんだわ。何故この人が、悲しそうな表情を向けるのかを……)
フィーネ自身を求めているかのような、優しさを見せる男の真意を。
突然、強烈な睡魔に襲われた。
自分の意思と反して、瞼が落ちる。
(まだあなたの名を……聞いていない……)
しかし、唇から言葉が洩れることはなかった。
ただ、
「フィーネ……乱暴にして、すまなかった……」
意識が途切れる瞬間まで、魔王の言葉を聞きながら、身体を抱きしめる温もりを感じていた。