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第69章 女神の名をもつ花

　雲一つない青空が広がっている。

「この晴天は、精霊たちからの祝福だな」

　空を見上げながら、ソルが呟いた。

　魔族は人間と精霊の混血。精霊たちの気持ちが、手に取るように分かるのだ。
　もちろん、彼らと力の根源で繋がっているフィーネも同じだ。

　ソルの言葉に一つ頷くと、微笑みを浮かべながら空を見上げた。

「……ありがとう」

　そう呟くと、彼女の言葉に答えるように、優しい風が、フィーネの頭を覆うベールを揺らし吹き抜けていった。

　フィーネがディザニアに戻って来てからこの日を迎えるまでの、数十日間。
　彼女はピアチェとして、ラファによって大きな被害を受けたサテアナ国の立て直しを行った。

　聖地を浄化し、穢された神官たちを癒し、ラファの偽神託によって混乱に陥っていたサテアナ国に、新たな神託を下して混乱の終息を図った。