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第10章 アンジェラ②

　突然抱きしめられて驚いたが、女性から漂う優しい石鹸の香りと、触れ合う肌の柔らかさで、気持ちが落ち着きを取り戻した。

（温かい……）

　聖地で孤独だったフィーネにとって、女性に抱きしめられる温もりは新鮮で、安らぎを与えるものだった。初対面だというのに、思わず瞳を閉じ、その温もりに浸ってしまうほどに。

　相手が動いたので、フィーネは慌てて身体を離した。
　女性は、しばらく色んな角度からフィーネの身体を確認すると、安堵の表情を浮かべた。

　彼女の身体に目に見える不調がないか、確認したのだろう。

「申し遅れました。私はあなた様の侍女、アンジェラと申します」

「侍女……ですか？　私なんかのために？」

「もちろんでございます。あなた様の身の回りのお世話は、私に何なりとお申し付けくださいませね？」

「あっ、ありがとうございます……。アンジェラさん」

「アンジェラとお呼び下さい、フィーネ様」