この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第12章 忠誠②
ディザニア国へ連れてこられた以上、何があってもここで生きるしかない。
この地で自分に出来ることは、純潔を奪い、主となった目の前の男に力を与えて尽くすこと。人間を裏切り、魔族につくこと。
力を注ぐ道具として、ただ課せられた使命をまっとうすること。
それだけだ。
だからアンジェラが彼をそう呼んだように、フィーネもまた目の前の男を王として呼んだ。この男に忠誠を誓う意思を表すために。
「……お前の言い分は分かった」
少しの沈黙ののち、魔王はそう言い放つと、フィーネの身体をベッドの上に押し倒した。視界には彼女の身体に跨る男の顔が映る。
こちらを見下ろす魔王の表情から、少しの怒りと寂しさが見えた気がした。
(どうしてこの方は……いつも悲しそうに私を見るの?)
一体、何が彼をそうさせているのだろう。
自分は、皆がそうあれと求めてきた役割を、果たしているだけなのに。
この地で自分に出来ることは、純潔を奪い、主となった目の前の男に力を与えて尽くすこと。人間を裏切り、魔族につくこと。
力を注ぐ道具として、ただ課せられた使命をまっとうすること。
それだけだ。
だからアンジェラが彼をそう呼んだように、フィーネもまた目の前の男を王として呼んだ。この男に忠誠を誓う意思を表すために。
「……お前の言い分は分かった」
少しの沈黙ののち、魔王はそう言い放つと、フィーネの身体をベッドの上に押し倒した。視界には彼女の身体に跨る男の顔が映る。
こちらを見下ろす魔王の表情から、少しの怒りと寂しさが見えた気がした。
(どうしてこの方は……いつも悲しそうに私を見るの?)
一体、何が彼をそうさせているのだろう。
自分は、皆がそうあれと求めてきた役割を、果たしているだけなのに。