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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第2章 魔王②
「あなたは……女神ピアチェ様に選ばれた勇者様なのですか?」
男は無言で首を横に振った。予想しなかった反応に、フィーネは瞳を見開く。
しかし男は、彼女の驚きに答えること無く、フィーネの上に覆いかぶさってきた。
彼の体重がかかり、ベッドが軋んだ音を立てる。だがフィーネにとって男の回答のほうが重要だった。
男は、勇者かという問いを否定した。
ならば、目の前の男は一体誰なのか。
「なっ……なら……あなたは一体……」
過去何度も、見知らぬ男たちに襲われた恐怖が蘇る。
慌てて男から逃げようと身体を起こしたが、すぐさま両手首を組み伏せられ、ベッドに押し戻されてしまう。
男の顔が、フィーネに近づいた。
濁り一つない少し大きめの翠色の瞳が、彼女を真っすぐ見つめる。
男性でありながらも、艶を帯びた美しい容貌をとらえた瞬間、眩暈が止まった。
代わりに視点が、意識が、彼一点に集中する。
華やかな容貌とは裏腹に、全体的に受ける印象はどこか冷々としていた。
(きれい……)
不審者ということを忘れ、思わずフィーネは見とれてしまった。一瞬だけ、恐怖が薄れ抵抗する力が緩む。
次の瞬間、銀色が視界一杯に広がり、冷たい容貌から想像出来ない温かく柔らかい感触がフィーネの唇に落ちた。
男は無言で首を横に振った。予想しなかった反応に、フィーネは瞳を見開く。
しかし男は、彼女の驚きに答えること無く、フィーネの上に覆いかぶさってきた。
彼の体重がかかり、ベッドが軋んだ音を立てる。だがフィーネにとって男の回答のほうが重要だった。
男は、勇者かという問いを否定した。
ならば、目の前の男は一体誰なのか。
「なっ……なら……あなたは一体……」
過去何度も、見知らぬ男たちに襲われた恐怖が蘇る。
慌てて男から逃げようと身体を起こしたが、すぐさま両手首を組み伏せられ、ベッドに押し戻されてしまう。
男の顔が、フィーネに近づいた。
濁り一つない少し大きめの翠色の瞳が、彼女を真っすぐ見つめる。
男性でありながらも、艶を帯びた美しい容貌をとらえた瞬間、眩暈が止まった。
代わりに視点が、意識が、彼一点に集中する。
華やかな容貌とは裏腹に、全体的に受ける印象はどこか冷々としていた。
(きれい……)
不審者ということを忘れ、思わずフィーネは見とれてしまった。一瞬だけ、恐怖が薄れ抵抗する力が緩む。
次の瞬間、銀色が視界一杯に広がり、冷たい容貌から想像出来ない温かく柔らかい感触がフィーネの唇に落ちた。