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BeLoved. 【懐旧談】
第1章 悪辣

狭くて薄暗いクローゼットの中。
両膝を抱え蹲り、息を殺して潜んでいた男の子。


怯え一色の瞳で僕を見上げるこいつは
6歳下の異母弟。



「ちゃんと最後まで"見てた"?」


僕の問いに必死に頷く頬を平手打った。
当たり前だ。下手な嘘をつくからだよ。



『見てた』のはあの時だけだったろう

わかってるんだよ。ルーバーの隙間から

僕と目が合った、あの時だけだったよね。


"最後まで見ていろ"と言ったはずだよ。


だから態々体の向きを変えて
どっぷり入り込んでいるのが
見えるようにもしてやったし

彼女にもお前の方を向かせてやったんだ。
(無論あのバカ女は気付いてないけどね)


──ごめんなさい、お兄ちゃん、ごめんなさい。


いつの間にか、平手打ちは拳での殴打になって。
異母弟は鼻血を吹き出し泣きながら謝り続けた。



許してなんかやらないよ。
おまえは『わるい子』だ。



──その時ふと、脇の姿見に目が留まった。

ああ、そうだね、そうだよ。わかっている。



いちばん『わるい子』が、笑顔でそこにいた。








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