この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第3章 3 太極府
門の前に兵士が二人槍をもって立っている。晶鈴は着物の汚れを簡単に払い、首から下げていた札を兵士に見せる。
「どうぞ」
「ありがとう」
兵士たちとは顔見知りで、お互いのことを知っているが、規則にのっとり太極府への通行札を見せるのだ。敷居をまたぎ石畳を歩く。医局は薬草などの植物だらけの場所と違い、太極府は庭は主に石で構成されていた。細長い黒い石と白い石が、易の卦を表している。晶鈴はポンポンっと一つ飛ばしに黒い石だけを歩いていく。今はまだ日が高いので、みな屋内にいるが、夕暮れ時からは星読みがぞろぞろと外に出てくる。
晶鈴は青色の厚手の靴を脱ぎそろえる。太極府のものはみな青い靴を履くことになっている。慶明は医局の色である白の靴を履かされるだろう。そういえば王子の隆明の靴の色を見る余裕はなかったことを思い出した。おそらく王子、王女の身に着ける黒であろう。今頃になって隆明の瞳と髪が、漆黒であったことを思い出す。
「わたしや慶明みたいな庶民とはやはり違うものねえ」
少し栗色をした毛先を眺め、慶明の黒いがゆるくくねった髪を思った。
「もし、ほんとうに友達になれたら……」
漆黒の絹のような髪に触れてみたいと思うのだった。
「どうぞ」
「ありがとう」
兵士たちとは顔見知りで、お互いのことを知っているが、規則にのっとり太極府への通行札を見せるのだ。敷居をまたぎ石畳を歩く。医局は薬草などの植物だらけの場所と違い、太極府は庭は主に石で構成されていた。細長い黒い石と白い石が、易の卦を表している。晶鈴はポンポンっと一つ飛ばしに黒い石だけを歩いていく。今はまだ日が高いので、みな屋内にいるが、夕暮れ時からは星読みがぞろぞろと外に出てくる。
晶鈴は青色の厚手の靴を脱ぎそろえる。太極府のものはみな青い靴を履くことになっている。慶明は医局の色である白の靴を履かされるだろう。そういえば王子の隆明の靴の色を見る余裕はなかったことを思い出した。おそらく王子、王女の身に着ける黒であろう。今頃になって隆明の瞳と髪が、漆黒であったことを思い出す。
「わたしや慶明みたいな庶民とはやはり違うものねえ」
少し栗色をした毛先を眺め、慶明の黒いがゆるくくねった髪を思った。
「もし、ほんとうに友達になれたら……」
漆黒の絹のような髪に触れてみたいと思うのだった。