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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第24章 24 新薬の開発
 食後も慶明は安定した感情の感覚を実感し、薬の効果を帳面につける。精神に影響する薬を開発するのはこれで10回目だった。今度こそ、うまくいくと実感があった。心を病んでしまった母に効果的だろう。そして、この薬を必要とするもう一人の人物にも。
 おそらくこの薬によって慶明の医局長就任は約束されたものになるだろう。

「そうなったらもう少し広い屋敷に移るか……」

 ほどほどの広さを保つ屋敷だが、装飾品の類は乏しく、簡素だ。贅沢な趣味はないが、地位が高くなるとそれなりの外見も整えなければならない。夫人の絹枝も飾り立てることをしないので、いつもまとめ上げた髪に、教師である身分を示す翡翠のついたかんざしをさしているだけだった。今度、王族の屋敷に行ったら調度品と装飾を参考にせねばと考えた。

「色々窮屈になるな」

 目的を達成していくことによってより、自由が減っている気がする。しかたなく慶明は履物を脱ぎ、足先に自由を感じさせることにした。
 

 
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