この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第29章 29 町と家と
久しぶりの町は相変わらず雑多で賑やかで埃っぽかった。3人の占い師たちに会いに行くと、晶鈴の元気な様子にみんな安堵し、また仲間として歓迎させる。しばらく赤ん坊の様子やら雑談をしてから、晶鈴は自分の商売の場所へと向かった。
ロバの明々は晶鈴のとなりで大人しく草を食んでいる。椅子に腰かけ、ぼんやりと行きかう人たちを眺める。目の前を様々な人種、色、香りがうつろっていく感じが好ましかった。久しぶりに一人になったと気が緩みかけた時「おや。久しぶりだな。ちょっと観てもらおうか」とふっくっらした中年の男が腰掛けた。
「お久しぶりね。今日は何を?」
「あんたの言う通り、麦の収穫が良かったもんだから貯えが増えたよ。そうだなあ。今特にこれってのはないが……」
「無いならいいじゃない」
「そうだが。ついついなあ」
男は愛想よく照れ笑いをする。気取らず、率直で媚のない晶鈴は商売っ気のなさが逆に好感度を上げているようで、こうして悩みがなくても何か占ってもらおうとする者がいる。座っただけで、料金が発生する占い師もいるなかで、このように占わない晶鈴は珍しい存在だった。
「せっかくだし、健康でもみておくれ」
「わかったわ」
こうして、3人ほど鑑定して、昼になったので町の食堂で食べて帰ることにした。
ロバの明々は晶鈴のとなりで大人しく草を食んでいる。椅子に腰かけ、ぼんやりと行きかう人たちを眺める。目の前を様々な人種、色、香りがうつろっていく感じが好ましかった。久しぶりに一人になったと気が緩みかけた時「おや。久しぶりだな。ちょっと観てもらおうか」とふっくっらした中年の男が腰掛けた。
「お久しぶりね。今日は何を?」
「あんたの言う通り、麦の収穫が良かったもんだから貯えが増えたよ。そうだなあ。今特にこれってのはないが……」
「無いならいいじゃない」
「そうだが。ついついなあ」
男は愛想よく照れ笑いをする。気取らず、率直で媚のない晶鈴は商売っ気のなさが逆に好感度を上げているようで、こうして悩みがなくても何か占ってもらおうとする者がいる。座っただけで、料金が発生する占い師もいるなかで、このように占わない晶鈴は珍しい存在だった。
「せっかくだし、健康でもみておくれ」
「わかったわ」
こうして、3人ほど鑑定して、昼になったので町の食堂で食べて帰ることにした。