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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第29章 29 町と家と
食堂に訪れるのも久しぶりで、子供のことを気にせず食事をするのはどれくらいぶりだろうと人心地着く。この店の名物の平たく長い辛味噌味の麺を啜る。ふと気づくと器は白い陶器で青い小花模様が描かれている。
「あら、彰浩の器なのね」
食堂なのに、家にいるような不思議な感覚もあった。改めてこの町に来てから、色々な出会いがあったなあと感慨深いものがある。占い師仲間に、生活を共にする仲間。
「いつまでもこのまま過ごせるといいわねえ」
そうだと思いつき、みんなへのお土産にふかし饅頭を持って帰ることにした。
ロバの明々が引っ張る荷台に横たわっていたが、揺れが止まったので晶鈴は身体を起こした。
「ありがとう。もう着いたのね」
道を覚えている明々は「ホヒィ」と誇らしげに啼いた。形ばかりの木の柵のような門を開き、庭を通って馬小屋に明々をつなぐ。草をたらふく食べたようで、水を少し飲むと足を折って座りくつろぎ始めた。
「ごめんね。遅くなって」
家の扉を開けると、ちょうど子供たちが寝付くところだったようで、京湖が「しっ」と人差し指を唇に当ててみせた。息をのんでそっと中に入り、2つの籠を交互に覗く。赤い頬の丸々とした子供たちが穏やかに寝息を立てている。
「あら、彰浩の器なのね」
食堂なのに、家にいるような不思議な感覚もあった。改めてこの町に来てから、色々な出会いがあったなあと感慨深いものがある。占い師仲間に、生活を共にする仲間。
「いつまでもこのまま過ごせるといいわねえ」
そうだと思いつき、みんなへのお土産にふかし饅頭を持って帰ることにした。
ロバの明々が引っ張る荷台に横たわっていたが、揺れが止まったので晶鈴は身体を起こした。
「ありがとう。もう着いたのね」
道を覚えている明々は「ホヒィ」と誇らしげに啼いた。形ばかりの木の柵のような門を開き、庭を通って馬小屋に明々をつなぐ。草をたらふく食べたようで、水を少し飲むと足を折って座りくつろぎ始めた。
「ごめんね。遅くなって」
家の扉を開けると、ちょうど子供たちが寝付くところだったようで、京湖が「しっ」と人差し指を唇に当ててみせた。息をのんでそっと中に入り、2つの籠を交互に覗く。赤い頬の丸々とした子供たちが穏やかに寝息を立てている。