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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第32章 32 安住
 一晩考え、こういう問題はとりあえず太極府で相談するのが良いだろうと、陸慶明は陳老師のもとへ赴いた。薬草だらけの医局と違い、石で構成された硬く無機質な雰囲気ではあまりリラックスはできない。このような場所に延々といられる者はやはり変わっているのだろうなと晶鈴の顔を思い浮かべた。石畳は履物の底からでも、硬さを伝えてくる。
 集中を妨げないためか、ここには音を奏でるものはなかった。声を掛けるときも静かに囁くように気をつけねばならぬ。静寂の中を一人の占い師がやってきたので「陳老師に取り次いでもらいたい」と呼び止める。

「どなたですか?」

 長身の痩せた男は無表情で尋ねる。ここには来客というものは基本的になかった。

「医局の次長で陸慶明と申す」
「わかりました。ただお会いできるのは正午でしょう」
「そうか。では昼にまた参る」

 ずいぶん待たされるが、その日に会えるだけましだろう。陳老師は国家占い師でも最高位にある。医局の次長である慶明がギリギリ会えるラインだろう。
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