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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第32章 32 安住
 医局に行ってから、部下に指示を出しまた屋敷に戻る。客人である朱彰浩と京湖、そして子供たちのもとへ訪れた。広々とした庭で星羅と京樹がしっかりした足取りで走り回っている。

「どうですか? よく休めましたか?」
「ええ。おかげさまで」

 彰浩が深々と頭を下げると京湖も丁寧にお辞儀をする。

「いやいや。不足があれば、そこの春衣に言ってください」
「何から何まですみません」

 恐縮する彰浩に慶明は話題を変える。

「そういえば、陶工でしたね。どのような焼き物を?」
「ああ、少しあるので持ってきましょう」

 これまであちこちの町に滞在して、陶器に適した粘土を求め、作って焼くことを移動しながら行ってきた。本来は一か所に落ち着いて行う職人仕事であるが、京湖と出会ってから、彰浩はあちこちで作陶をしている。
 荒い布を慶明の座っている台のまえで開く。丸い手のひらサイズの深鉢のようだが、すべて色が違っている。慶明は一番上にある青白磁の器を手に取った。

「これは美しい。どれどれ」

 その下にあった飴色の器を眺める。

「うーむ。これも味わい深いものだな」

 鑑賞され満足する彰浩に慶明は尋ねる。

「どうしてこんなにいろいろな作風なのですか?」
「移動先で手に入れた材料を使うからです」
「なるほど」

 彰浩は、行った先々で粘土を求め、釉薬になる木灰や顔料を手に入れ、簡易窯で焚いてきた。そのため、焼き閉まる鉄分の多い土や石質の磁器などいろいろなタイプの焼き物になった。それでも造形は彰浩の誠実な性格が表れているのだろうか。触り心地は優しく温かい感じがする。
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