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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第36章 36 出会い
――死んだことにして逃げ出した京湖は、国境にたどり着く。貧しい身なりで顔を汚し、髪を埃だらけにしていると時々小銭を恵まれる。気候は温暖で豊かな国なので、凍えることも、飢えることもないが生涯このまま流浪の身であることに、不安は尽きない。かといって戻って、あの蛇のような生理的嫌悪感を感じる男と結婚するのも嫌だった。何不自由のないお嬢様であった京湖が、このような乞食同然の生活をおくることになるとは誰にも、本人にも想像ができない。何度何度も以前の清潔で美しい生活を懐かしんだ。
ぼんやり歩いていると、町から随分離れたようで、あたりは静まり返っていた。日も暮れ始め薄暗い。
「どうしよう。こんなところで……」
凍えることはないだろうが、獣の遠吠えが聞こえ京湖は怖くなった。かさっと茂みが鳴るたびにびくびくと京湖は身を固くする。あたりはすでに暗闇になっている。そのうえますます山の中に入ってしまい、途方に暮れたころ小さな明かりが見えた。急いでその明かりのほうへ向かうと、小さな小屋と大きな土の塊が見えた。それが朱彰浩の陶房だった。
人がいると思った京湖はゆっくり近づいて様子を見る。長身の若い男がもうあたりも暗いのに土の塊の周りをうろうろしている。土の塊だと思ったのは、高さのある焼き窯だった。どうやら窯の中から器を出しているらしい。灯籠を片手にもち、出した器を眺めている。チラチラと灯籠の明かりが男の顔を照らす。
ぼんやり歩いていると、町から随分離れたようで、あたりは静まり返っていた。日も暮れ始め薄暗い。
「どうしよう。こんなところで……」
凍えることはないだろうが、獣の遠吠えが聞こえ京湖は怖くなった。かさっと茂みが鳴るたびにびくびくと京湖は身を固くする。あたりはすでに暗闇になっている。そのうえますます山の中に入ってしまい、途方に暮れたころ小さな明かりが見えた。急いでその明かりのほうへ向かうと、小さな小屋と大きな土の塊が見えた。それが朱彰浩の陶房だった。
人がいると思った京湖はゆっくり近づいて様子を見る。長身の若い男がもうあたりも暗いのに土の塊の周りをうろうろしている。土の塊だと思ったのは、高さのある焼き窯だった。どうやら窯の中から器を出しているらしい。灯籠を片手にもち、出した器を眺めている。チラチラと灯籠の明かりが男の顔を照らす。