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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第38章 38 想像
 家族4人で食卓を囲み、いつまでも続いてほしいと願う団らんの中、京樹から、これから夕方から明け方にかけて太極府に通うようになり、そのうち太極府の寮に入るかもしれないと話を聞かされた。今までの生活が変わっていくのかもしれないと京湖は不安を覚えたが、京樹には明るい未来が見えているのか明るい表情だ。京湖はふと息子の京樹の、星羅に対するまなざしが特別のものに感じる。兄妹として互いに思いやりを持ち合う仲の良さはあったが、今夜は特別京樹が星羅に対して優しい気がする。

「ほら、また口の端に咖哩のつゆがついてるよ」
「えー、どこどこ」
「ほらここだよ」

 胸元から出した、手ぬぐいで京樹は星羅の口元をぬぐう。

「どうして京にいはつかないのかしらね」
「さあね」

 他愛もないやり取りなのに兄妹のそれとは違うように感じる。2人はお互いが兄妹でないことを知っているが、兄妹として育っている。いつか男女の情が湧いてもおかしくないかもしれない。京湖は、二人が良ければ大人になって結ばれてもよいと思った。同じ年なら女の子のほうが恋愛に対して早熟なのではと思うが、星羅のほうは全くその気配がない。京樹と星羅が結ばれて、孫の世話をすることを想像して思わず京湖は笑んでいた。

「どうかしたのか?」

 気づくと夫の彰浩が見つめていた。出会ったころから変わることのない誠実で優しい目だった。

「ううん。今とても幸せだと思って」
「そうか」

 大臣の娘として甘やかされ、何不自由なく天真爛漫に育ち、自分の両親、兄姉たちにも可愛がられた京湖は、誰かに依存することも執着することもなかった。国から逃げ出した後も、国の家族を恋しく思ったことはなかった。しかしこの今の家族だけは失いたくないと思っている。
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