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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第39章 39 殺意
「あんな小娘に……」

 愛されていない形だけの絹枝は敵ではなかった。尊敬していた晶鈴の娘、星羅が強敵になって登場してきた。もう2,3年もすれば星羅は少女から花が咲き誇るような麗しい乙女となるだろう。その時に慶明が星羅に対してどう出ていくかわからない。星羅の育ての親は、慶明の口利きで都での生活が安定しているのだ。実の親子でないなら余計に、星羅を側室にと求められたら家族は拒むことはない。聡明そうな星羅も、正室の絹枝と仲が良いようなので嫌がらずに輿入れするかもしれない。

「こっちは老いる一方だというのに……」

 かさついた指先を見てこすり合わせ唇をかむ。

「早すぎてもだめだし、遅すぎてもだめ」 

 医局長で薬品のスペシャリストである慶明のそばに仕えているおかげで、春衣も薬草に詳しくなった。もちろん毒草にもだ。即効性のあるものも遅効性のあるものもよくわかっている。さらに容易に手に入れることができる。
 慶明が星羅を女として欲する前になんとかしなければと、春衣は手筈を整え始めた。
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