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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第5章 5 晶鈴の日常
石を片付けていると、春衣が戻ってきた。晶鈴よりも一つ若い彼女は、尊敬のまなざしを向ける。
「晶鈴さまのように何か才があれば、結婚で夫選びに困ることはないんでしょうね」
「そう? どうして?」
「夫がいなくても生活ができるからですよ」
「うーん。確かにそうだけど、だれかと一緒のほうがいいと思うわよ?」
「そうですか? わたしの母は、父が酒にだらしない人でしたから苦労の連続でしたよ。母に生活の糧を得る手段があればよかったのですが」
春衣は母が夫の経済に頼るしかできない生き方を見てきたので、宮廷で下女という職を求めてきた。
「晶鈴さまなら、殿方に勝るとも劣らない出世が見込めますしね」
「さあ。このまま助手かもよ」
この王朝を開いた武王によって、男女問わず才を優遇される時代となっている。女の身であっても高官を望むこともできるのだった。ただ晶鈴には出世欲は皆無だった。
「ああそうだ、さきほど慶明様がいらしたのですが、占い中とお伝えしておきました」
「そう。なにか用事があったのかしら?」
「いえ、通りがかりだそうです」
「そっか。慶明は忙しいのかしらね」
「籠にたくさんの薬草を摘まれてました」
「また何か新しい薬が出来上がるかしら」
時々、新薬を作り出し慶明は自分の身体で確かめているようだった。また確かめる前に晶鈴に効果の有無や害を尋ねる。彼のほうは順調に出世街道を歩いているようだった。
晶鈴は周囲の人たちの願望や欲望を静観してきた。みんな何かしら目的があるようだ。決して冷めているわけではないが、常に平常心である自分は他の人と違うと感じている。その平坦さが、占い師たるゆえんであるが自己分析をすることはなかった。
「晶鈴さまのように何か才があれば、結婚で夫選びに困ることはないんでしょうね」
「そう? どうして?」
「夫がいなくても生活ができるからですよ」
「うーん。確かにそうだけど、だれかと一緒のほうがいいと思うわよ?」
「そうですか? わたしの母は、父が酒にだらしない人でしたから苦労の連続でしたよ。母に生活の糧を得る手段があればよかったのですが」
春衣は母が夫の経済に頼るしかできない生き方を見てきたので、宮廷で下女という職を求めてきた。
「晶鈴さまなら、殿方に勝るとも劣らない出世が見込めますしね」
「さあ。このまま助手かもよ」
この王朝を開いた武王によって、男女問わず才を優遇される時代となっている。女の身であっても高官を望むこともできるのだった。ただ晶鈴には出世欲は皆無だった。
「ああそうだ、さきほど慶明様がいらしたのですが、占い中とお伝えしておきました」
「そう。なにか用事があったのかしら?」
「いえ、通りがかりだそうです」
「そっか。慶明は忙しいのかしらね」
「籠にたくさんの薬草を摘まれてました」
「また何か新しい薬が出来上がるかしら」
時々、新薬を作り出し慶明は自分の身体で確かめているようだった。また確かめる前に晶鈴に効果の有無や害を尋ねる。彼のほうは順調に出世街道を歩いているようだった。
晶鈴は周囲の人たちの願望や欲望を静観してきた。みんな何かしら目的があるようだ。決して冷めているわけではないが、常に平常心である自分は他の人と違うと感じている。その平坦さが、占い師たるゆえんであるが自己分析をすることはなかった。