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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第48章 48 頭痛
 慶明の後を付いて行きながら、春衣は苦々しい思いを抱く。厩舎を通った時に、星羅の馬がつながれているのがわかった。星羅の馬は、慶明が軍師見習いの試験に受かったお祝いに彼女に与えたものだ。美しい栗毛をもち額に白い模様がある。その模様が星のようであるということでその馬を選んだ。気性はおっとりしていて人懐っこいので、星羅は『優々』と名付けている。

 絹枝が来客中で、慶明がいるのを知っていた春衣は何かあったらいけないと急いで客間に向かった。見ると慶明は診察という名目で星羅に触れていた。星羅は純粋に診察だと思っているだろうが、慶明は恐らく違う思惑があるはずだと春衣は睨んでいる。

「星羅さんはどこかお悪いんですか?」

 春衣はわざと慶明に尋ねる。

「ん、いや。健康そのものだよ」

 何事もないような言い方が、また春衣の神経を逆なでする。

「もうこの屋敷にはあまり来ないでしょうね。軍師見習いとしてお忙しいだろうから」
「いや、夫人に会いに来るだろう。それに健康診断のために月に一度は私の所へ来るように言ってある」

 春衣はそのことを聞いて目の前が真っ暗になる。健康診断はきっと絹枝のいないときを狙うはずだ。今は胡晶鈴の娘への親切心だろうが、そのうちどうなるか分からない。慶明が星羅を我が物にすることなど薬品でも使えば赤子の手を捻ることに等しい。
 春衣はまた早く次の手を打たねばと考え始めた。
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