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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第6章 6 慶明の新薬
軽い足取りで去っていく慶明を見送った後、そっと春衣が耳打ちをする。
「今日の慶明さまも素敵でしたね」
「そう?」
青年になってからの慶明しか知らない春衣には好ましい男性のようだ。少年時代、履物も着物もすぐ脱いで、落ち着きなくうろうろしていた姿を知っている晶鈴は、春衣のように憧れる気持ちを持てなかった。
「面白い人だけどね」
役に立つかどうかわからないような新薬も作り続ける慶明は、ほかの人とはやはり変わっていた。二人は幼なじみのような親しさで、仲良くやってきた。そのため周囲は勝手にこの二人がいつか夫婦になるだろうと思っている。春衣も、晶鈴に仕え始めた時、慶明と一緒の様子を見ててっきり恋人同士だと思っていたが、今ではすっかり晶鈴にその気がないことを知っている。ただ慶明はどうかと問われると、晶鈴に対して幼なじみ以上の思いがある気がする。一度、そのことを晶鈴に言ってみたがそんなことはないと笑い飛ばされてしまった。
「慶明さまのお気持でも占ってみればよいのに」
なんでも見通すことができる晶鈴は、自分のことはまるでご存じないのだ、と春衣は温かい気持ちで眺めた。
「今日の慶明さまも素敵でしたね」
「そう?」
青年になってからの慶明しか知らない春衣には好ましい男性のようだ。少年時代、履物も着物もすぐ脱いで、落ち着きなくうろうろしていた姿を知っている晶鈴は、春衣のように憧れる気持ちを持てなかった。
「面白い人だけどね」
役に立つかどうかわからないような新薬も作り続ける慶明は、ほかの人とはやはり変わっていた。二人は幼なじみのような親しさで、仲良くやってきた。そのため周囲は勝手にこの二人がいつか夫婦になるだろうと思っている。春衣も、晶鈴に仕え始めた時、慶明と一緒の様子を見ててっきり恋人同士だと思っていたが、今ではすっかり晶鈴にその気がないことを知っている。ただ慶明はどうかと問われると、晶鈴に対して幼なじみ以上の思いがある気がする。一度、そのことを晶鈴に言ってみたがそんなことはないと笑い飛ばされてしまった。
「慶明さまのお気持でも占ってみればよいのに」
なんでも見通すことができる晶鈴は、自分のことはまるでご存じないのだ、と春衣は温かい気持ちで眺めた。