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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第57章 57 故郷
「まあまあ。ほんとうにどうしたの?」
「ん。ちょっと考えることが多くて疲れたのかも」
「そう……。よく休んでね。もっと食事に香辛料を増やそうかしら」
「それは元気になるよ。ねえ、母様と父様は西国に戻りたいとは思わない?」
「え? 西国へ? それは、そうね。いつか戻れたらいいわね」 

 京樹はこの華夏国の危機を家族であっても話すことはできない。もしかしたら華夏国と運命を共にすることもあるのだ。京樹自身は、生まれたのも育ったのも華夏国なので、西国に望郷の念はない。むしろ太極府こそ自分の居場所であり、活躍できる場なので忠誠を尽くす所存だ。

 星羅の存在も大きい。彼女はもちろん華夏国の主要人物となっていくだろうし、この国を離れることはないだろう。華夏国と星羅を京樹は支えていく覚悟だ。

 しかし彰浩と京湖は西国で生まれ育ち、この国が好きで来ているのではない。両親の事情は京樹も星羅も知っている。京樹は秘密裏に西国の星も観察している。ちょうど華夏国が危機を迎える年に、西国にも変化が起きる。その変化はどうやら国民にとっては幸いなことで、国が亡びることではないようだ。
 この危機に瀕する華夏国から西国へ戻ることを、両親に進めるべきか京樹は悩んでいる。
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