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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第7章 7 立太子
 袖の中から別の書状をとりだし「では、こちらを」と陳賢路は差し出す。このようなこともあろうかと、吉日は複数選んであった。

「好い! この日に儀式を行う」
「ははぁ」

 孔景は満足し、ほっとした表情を見せていた。

「では、下がってよい。次の手筈も頼むぞ」
「御意にございます」

 陳賢路は丁重に拝礼をして朝廷を後にした。石の階段を、足を踏み外さないようにゆっくり降りていると、太子となる王子の隆明が目に入る。立派な青年となり、王はもとより臣下からの太子への呼び声は高かった。

 「博行さまも立派ではあるが、隆明さましかおるまい」

 博行も隆明に劣らず、文武両道で美丈夫であるが、身弱であった。剣の腕に優れているが、長く鍛錬すると微熱を伴い床に臥すことも多かった。最近は、医局のホープ、慶明が献上している、強心剤のおかげで安定した健康を保っている。

 先の王后と、現在の王后は2つしか年は離れておらず、王子たちも同じ年の差だった。このわずか2年の差に、現王后が歯がゆい思いをしているのは誰の目でも明らかだった。しかし占術の結果でも、隆明が太子となり、王となることは王朝の安定に必須だった。隆明の星は王の星であり、人を統べる星なのだ。その王の星を持つ王子を生むべく選ばれたのが、もちろん先の王后だ。残念なのは、彼女が早世してしまったことだ。
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