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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第59章 59 懺悔
 久しぶりに陸家にやってきた星羅は、まず恩師の絹枝にあいさつをする。相変わらず書籍だらけで素っ気ない部屋だ。

「老師、ご無沙汰してます」
「元気そうね」
「今日は老師ではなく、慶明おじさまにお話したいことがあるのですがもうお帰りになります?」
「ああ、あの人ならもう帰ってきてるわ。貴晶の相手をしていると思うの」
「貴晶?」
「あら、聞いてない? 春衣が生んだ息子よ。ちょっと身体が弱くてね。おまけに春衣もあまり具合が良くなくて……」

 絹枝は、心配そうに眉をひそめる。春衣はもう若くなかったので難産だった。産後の具合も良くなく、起き上がることができない。
 今まで陸家を回していたのは、ほぼ春衣だったといっても過言はなくその彼女が臥せっているので、いろいろなことが滞っている。経済的には困窮することはないが、屋敷の内部のこまごまとしたことが上手く回っていない。何人か使用人も雇ったが、春衣のような有能なものはなかなかおらず、無駄に給金を払うばかりだった。

「今日は天気がいいから、夫が貴晶を日光浴させてると思うわ」

 絹枝はそう言いながら目の前の竹簡に目をやる。今まで春衣に任せていた、使用人の給金や役割を確認している。

「どうもこれからは、私が家のことをやらなければならないかも……」
「春衣さん、よくなるといいですね」
「ええ……」

 星羅はこれ以上絹枝の邪魔をしないように、庭のほうへ向かった。その前に春衣の部屋がある。一応見舞ったほうがいいかと、春衣の部屋付きの下女に声を掛ける。

「あの、春衣さんにお会いできるか聞いてみてくれる?」

 若い下女はすぐに春衣のもとに行って帰ってきた。

「お会いになるそうです」
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