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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第62章 62 宴
 王女たちが隆明にじゃれるようにまとわりついている。周茉莉を母に持つ王女は愛くるしく膝に乗っており、申陽菜を母に持つ王女は幼いながらも色気があり、隆明の首に手をまわしている。それぞれの母は、隆明と二人きりの時にそうしているのだろうと誰もが予想できる。
 そんな王女たちを見ていると、なぜだか星羅は胸が苦しくなってきた。なぜだかわからないが切なく辛くなってくる。

「さて、そろそろ終わりにしよう」

 隆明が立ち上がると妃たちも立ち上がる。軍師見習いの三人も慌てて立ち上がった。

「どうだ。楽しかったか?」

 隆明の言葉に3人は恐縮して礼を述べた。

「星雷は少し酔ったのか?」
「え?」

 すっと隆明の指先が星羅の頬をかする。

「また軍師省で会おう」

 くるっと隆明は妃と官女を連れて立ち去った。

「さて、俺たちも帰るか」
「あ、ああ」

 ぼんやりしている星羅に忠弘が声を掛けた。

「楽しかったな。しかし隆明様はほんとうにお優しいかたであるなあ」

 ますます隆明に信奉していく忠弘だった。

 帰宅して蒼樹から借りた着物を脱ぐと、星羅はまるで夢からさめたような気がした。

「どうして胸が苦しくなったのかしら」

 親ほど年の離れた隆明のことを思うと、やはり胸が苦しい気がする。そして早く軍師省に訪れてほしいと願うようになるのだった。
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