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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第65章 65 思慕
「殿下が父上……」

 目の前が滲み始めた。景色がグニャグニャと歪む。初めて恋をした人が父だった。初めてそばに感じた時から、懐かしく恋しく感じた隆明は、父だった。養父母の朱彰浩と京湖は、おそらく王太子が星羅の父親だとは知らないだろう。
どうして今頃、隆明が父だと星羅に明かしたのかわからなかった。公言することのできない事実を持つことはとても辛いことなのだと思った。

 星羅が王太子の実子だと周囲に知られると、後継者の問題に巻き込まれるどころか、安定したこの王朝のほころびになるかもと抹殺されるかも知れない。恋は人知れず終わる。

「蒼樹……。終わったわ……」

 蒼樹に心配される必要がなくなったなと星羅はふっと笑った。今までにない卑屈な微笑だった。
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