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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第74章 74 辺境
「明日は、揚梅さんはお休みだからわたしが咖哩を作るわ」
「ああ、久しぶりに食べたいと思ってたんだ。咖哩はなんか癖になるよな」
「ええ、かあさまの作る咖哩には及ばないけど」
「十分美味いさ。あ、でも米じゃなくてあの長細くて薄っぺらい面包(パン)にしてくれ」
「いいわよ。西国では面包(パン)とは言わずに饢(ナン)と言うそうよ」
若い二人は仲睦まじく肩を寄せ合って暮らしている。ただ、もうじき明樹は西国に隣接している辺境での勤務が決まっている。
以前、離れていても平気だという話をしたが、実際に夫婦になってみると、離れて暮らすことはとても寂しい。今一緒に暮らしている間に、できるだけ星羅は明樹に妻として尽くしていたかった。
並んで歩く二人の影をわざと重ねてみたりする。手をつないでも一体化しないのに影はぴったりと一人の人物になったように見える。星羅は影になって明樹に重なって一緒にいられたらと願うようになっていた。
「ああ、久しぶりに食べたいと思ってたんだ。咖哩はなんか癖になるよな」
「ええ、かあさまの作る咖哩には及ばないけど」
「十分美味いさ。あ、でも米じゃなくてあの長細くて薄っぺらい面包(パン)にしてくれ」
「いいわよ。西国では面包(パン)とは言わずに饢(ナン)と言うそうよ」
若い二人は仲睦まじく肩を寄せ合って暮らしている。ただ、もうじき明樹は西国に隣接している辺境での勤務が決まっている。
以前、離れていても平気だという話をしたが、実際に夫婦になってみると、離れて暮らすことはとても寂しい。今一緒に暮らしている間に、できるだけ星羅は明樹に妻として尽くしていたかった。
並んで歩く二人の影をわざと重ねてみたりする。手をつないでも一体化しないのに影はぴったりと一人の人物になったように見える。星羅は影になって明樹に重なって一緒にいられたらと願うようになっていた。