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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第74章 74 辺境
「奥方が迎えに来ていますよ」

 部下の一人が冷やかすように明樹に告げる。明樹は余裕の笑みを浮かべて「お前も早く誰かを娶るとよい」と肩に手を乗せる。明樹の妻が軍師助手だということは、彼の周囲にはもちろん知れ渡っている。これから活躍するだろうと大きな期待をされている明樹と、華夏国のシンクタンクの一人である星羅の組み合わせは皆に一目置かれている。
 また明樹の明るく誠実な人柄と、星羅の控えめだが芯の強さを感じさせ、夫を毎日迎えに来る献身的な様子に皆、好意的だった。似合いのカップルだと祝福されている。

「あなた、お疲れ様です」
「うん、帰ろう」

 仲良く並ぶ後ろで、やはり部下たちがヒューヒューと囃し立てていた。星羅が振り向き頭を下げると、部下たちは照れ臭そうに頭をかいて引き下がる。

「あなたの部下たちは面白い方たちばかりね」
「ははっ。うらやましいのさ」

 明樹の明るい夏のような笑顔は、星羅をリラックスさせる。軍師省ではいつも緊張と緊迫感があり星羅はヒリヒリした感覚で仕事をしている。それが嫌いではないが、明樹といるとホッとする。
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