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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第76章 76 陰謀の中心
「王妃様どうかなさいましたか?」
「何がじゃ」

 侍女に尋ねられ、蘭加は喉を掻きむしっていることに気づく、同時に喉の奥がはれ上がり息が苦しくなってきた。

「う、く、苦し……」

「母上! 誰か、誰か、早く侍医を呼んでまいれ!」

 博行は慌てて蘭加のもとに駆け寄る。隆明も彼女のそばに寄り添い心配しながら様子をうかがっていると「早く王妃様を寝台に!」と医局長の陸慶明の声が聞こえた。
 蘭加は板に乗せられ運ばれる。動揺している博行も一緒に付き添っていった。隆明は「皆の者、ここを片付けて持ち場に戻るように」と指示してから、自分も蘭加のもとへ向かった。

 慶明は蘭加の診察をするので、皆下がって静かにしてほしいと頼む。蘭加は目を白黒させていて口の端から泡が出ていた。

「王妃様、何か言い残すことはありますか?」

 静かに尋ねる慶明に蘭加は目を見開き睨みつける。

「お、の、れえ、そなた、りゅう、めいではなく、あたくし、をっ!」

 慶明は少し口の端を上げる程度に笑んで何も答えない。蘭加は目いっぱい叫んでいるつもりだが、声はしわがれ喉がどんどんふさがっていくため、そばの慶明にしか聞こえなかった。

「大丈夫です。博行さまには健やかに過ごしていただけるよう尽力して参りますので」
「ぐっ、うううっぐ、くや、し――ぐはぁっ、うっ――」

 蘭加は呼吸ができず、顔は青黒くなっていった。身体中には発疹が出ている。やがてビクッと身体を震わせ息絶えた。
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