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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第81章 81 王位継承
 今日も、彼女は自分の娘を王位につける算段の相談をしてくるだろう。曹隆明が王位についたので王太子を立てねばならない。候補になるのは王妃が生んだ第一公主の杏華で、すでに婿も取っている。虚弱な彼女は一度懐妊したが流れてしまい、その後妊娠の兆候はない。慶明の見立てでは、杏華公主が子を持つことはもう無理だ。そして近々、申陽菜の娘、晴菜公主が婿を迎える。彼女は健康的なので十分懐妊できるだろう。

 女性が王位継承者になるとき、世継ぎを産むためにやはり太極府が選んだ婿を入内させる。男児を孕ませることができなければ、また別のものが婿入りすることになっている。

 申陽菜は杏華公主が邪魔で抹殺したがっていたが、彼女にもう妊娠能力がないとわかると抹殺を取りやめる。もう敵は杏華公主ではない。今度の矛先は、周茉莉の娘で第三公主である、百合公主だ。晴菜公主に子ができなければ、継承権は百合公主に移っていく。邪魔ものを消すことと、晴菜公主に男児を産ませる相談をされるとわかっている慶明の足取りは重かった。

 王と王妃の部屋は、王太子宮のころと変わっていなかった。王妃となった桃華の体調は相変わらず優れず、かといって悪化もしていない。桃華はもう何年も健診で関わっているというのに、慶明によそよそしい。
ほかの妃たちはすぐに打ち解け、良くも悪くも美容の相談をされる。桃華は、慶明だけでなく、王である曹隆明にもよそよそしい。王族には王族なりの何かがあるのかと思うが、頑なな桃華はいつもこわばった顔つきをしている。

「どうぞ力を抜いてください」
「はい……」

 そう言ってリラックスされたことはなかった。しょうがなく慶明は、気の流れがスムーズになり、心を安らかに保つ薬湯の処方を渡している。王妃の性格であって病んでいるわけではないので慶明にはやりようがなかった。とにかく身体の健康の維持に努めるだけだ。
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