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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第81章 81 王位継承
申陽菜の部屋だけ、引っ越し後に様変わりしている。調度品はすっかり新しいものに変えられており、内装は明るい。少々軽薄な雰囲気になっており、王族の部屋というより、裕福商人の屋敷のようだ。
寝台などは、パステルカラーの薄衣で何層ものドレープを作らせ、むせるような香を焚き込めている。まるで娼妓の部屋のようだ。
「ねえ。陸殿。今度、晴菜が婿を取ることになりましたの」
「おめでとうございます」
「茉莉夫人の百合公主の婿取りは来年になるのだけど、その前に、ね」
「その前に、とおっしゃられても、こればかりは天の計らいですし」
「強壮剤でもなんでもよいから、何かないかしら?」
申陽菜は、自分の娘を、周茉莉の娘よりも早く懐妊させたいのだ。
「で、百合公主には、ほら、わかるでしょ?」
腹黒い彼女はさらに百合公主の懐妊を妨げる薬を盛れと言う。むせかえる香に、咳き込みながら慶明は申陽菜の衰えに気づく。
側室に入ったころは、可憐で透明感のある美女であった。曹隆明も彼女の美しさをとても褒めていた。しかし、いつの間にか妬みが強くなり、蹴落とすことばかり考えているせいか表情はきつく、眉間の皴が深くなっている。華奢な身体が自慢のため、食事を制限しているが、老いた今、彼女は枯れ木のような印象になってきた。
年相応にふっくらしてきた周茉莉を豚のようだとののしるが、申陽菜の容姿は今や痛々しい。
「とにかく頼むわよ」
「善処いたします」
いつものように肌を潤す処方を渡し、慶明は下がった。
「もう、後には引けぬのだ」
一度陰謀に関わると、手を引くことはできない。申陽菜の部屋を出て、着物を軽くはたき匂いを追い出す。軽く頭痛がしてきたが、こめかみを揉んで次の側室の診察に向かった。
寝台などは、パステルカラーの薄衣で何層ものドレープを作らせ、むせるような香を焚き込めている。まるで娼妓の部屋のようだ。
「ねえ。陸殿。今度、晴菜が婿を取ることになりましたの」
「おめでとうございます」
「茉莉夫人の百合公主の婿取りは来年になるのだけど、その前に、ね」
「その前に、とおっしゃられても、こればかりは天の計らいですし」
「強壮剤でもなんでもよいから、何かないかしら?」
申陽菜は、自分の娘を、周茉莉の娘よりも早く懐妊させたいのだ。
「で、百合公主には、ほら、わかるでしょ?」
腹黒い彼女はさらに百合公主の懐妊を妨げる薬を盛れと言う。むせかえる香に、咳き込みながら慶明は申陽菜の衰えに気づく。
側室に入ったころは、可憐で透明感のある美女であった。曹隆明も彼女の美しさをとても褒めていた。しかし、いつの間にか妬みが強くなり、蹴落とすことばかり考えているせいか表情はきつく、眉間の皴が深くなっている。華奢な身体が自慢のため、食事を制限しているが、老いた今、彼女は枯れ木のような印象になってきた。
年相応にふっくらしてきた周茉莉を豚のようだとののしるが、申陽菜の容姿は今や痛々しい。
「とにかく頼むわよ」
「善処いたします」
いつものように肌を潤す処方を渡し、慶明は下がった。
「もう、後には引けぬのだ」
一度陰謀に関わると、手を引くことはできない。申陽菜の部屋を出て、着物を軽くはたき匂いを追い出す。軽く頭痛がしてきたが、こめかみを揉んで次の側室の診察に向かった。