この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第86章 86 行方不明
 もうじき夫が帰ってくると星羅は、国難のさなか明るい気持ちでいた。陸家でも、珍しく絹枝が溌溂としている。

「やっと帰ってくるのね。徳樹も貴晶もすっかり大きくなったわね」
「貴晶さんは徳樹を弟のようにかわいがってくれますね。寝かしつけも上手で」
「ええ。今きっと一緒になって眠りこけてると思うわ」

 亡き陸慶明の側室、春衣が生んだ貴晶は5歳になっている。貴晶には春衣のことを話してはおらず、絹枝が実母として彼を養育している。
 家事も育児も不得意な絹枝は、明樹の育児にはほとんど乳母に任せたようだが貴晶のことは自分で面倒を見ているようだ。

「貴晶はほんとうに利口な子でね。利発な春衣によく似ているわ」
「お義父上にも似てますし、お義母上の養育もいいんだと思います」
「そう? だといいわねえ」

 絹枝は教師として多くの女学生を導いてきたおかげか、実の子でない貴晶を疎んじることなく、その才を認め育てている。

「あの、こんなこと聞くとちょっとどうかと思うけど……」
「なんでしょうか」
「星羅さんは、実のお母さまが恋しくはないのかしら?」
「うーん。恋しいとは思ったことがないです。京湖かあさまがいてくれたから」
「そうなのね。いえね。いつかは貴晶に母親のことを話さねばと思うんだけど、知ったら私のことを嫌になったりするかしらね。ほら、実の母親じゃないくせに母親面するなとか……」 

 絹枝はこれからの貴晶との母子関係を心配しているようだ。

「大丈夫ですよ。わたしは京湖かあさまを心から母だと思っています。晶鈴かあさまも勿論母だと思ってますけど。そういえば子供のころに兄が、星羅にはかあさまが二人いるねって言ってくれました」
「なるほどねえ」

 複雑な生い立ちの星羅の想いにしみじみと絹枝は感じ入っていた。
/628ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ