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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第89章 89 『美麻那』
「目的は何?」
虚ろでやせこけた明樹を涙をこらえてみていたが、涙声になっている。
「安心して命でもお金でもないから」
「では何!?」
「ごめんなさいね。それはあたしもよく知らないの。とにかく上からの指示でずっとここに店を出してたのよ。あなたが来るまで」
「わたし?」
女の狙いは星羅だったが、とらえる理由を知らない。彼女は指示されているだけのようだ。それでも明樹をこんな状態にした女を許せるわけもなく、憎しみが増していく。
「さて、もう一人の男に書状を持たせて解放するわ。しばらく夫婦の対面をしててね」
見張りの男を一人置いて女は出ていった。
「あなた……」
星羅の呼びかけに明樹は壁を見たままぼんやりとしている。近寄って頬を彼の手の甲に乗せたが反応はない。痩せた手は筋張りかさつき、体温を感じない。自分の流す涙の熱さを星羅は初めて知った。
虚ろでやせこけた明樹を涙をこらえてみていたが、涙声になっている。
「安心して命でもお金でもないから」
「では何!?」
「ごめんなさいね。それはあたしもよく知らないの。とにかく上からの指示でずっとここに店を出してたのよ。あなたが来るまで」
「わたし?」
女の狙いは星羅だったが、とらえる理由を知らない。彼女は指示されているだけのようだ。それでも明樹をこんな状態にした女を許せるわけもなく、憎しみが増していく。
「さて、もう一人の男に書状を持たせて解放するわ。しばらく夫婦の対面をしててね」
見張りの男を一人置いて女は出ていった。
「あなた……」
星羅の呼びかけに明樹は壁を見たままぼんやりとしている。近寄って頬を彼の手の甲に乗せたが反応はない。痩せた手は筋張りかさつき、体温を感じない。自分の流す涙の熱さを星羅は初めて知った。