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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第89章 89 『美麻那』
「どうぞ」
部屋には扉はなく布一枚で廊下と隔てられている。すぐにも逃げ出すことができそうな部屋の作りに疑問を持ちながら星羅は中に入る。
「あなた!」
寝台にはやせ細った明樹が横たわっている。髪はまとめられておらず、半裸の身体に流れている。身体を縛られたまま星羅は寝台に駆け寄り、明樹に何度も声を掛ける。
「あなた、あなた」
閉じていた目を開いたが明樹の視線が定まっていない。
「う、うう」
「しっかりして、星羅です!」
「せい、ら?」
「ええ!」
「それより粥を……」
「粥?」
「うう……」
何もまともに答えてくれず、星羅のこともよくわかっていないような明樹の様子にまさかと女を睨みつける。
「怖いわ。そんな顔して。命に別状はないのよ?」
「麻薬を使うなんて……」
「拷問なんかよりもいいと思わない?」
さっきの咖哩もおそらく麻薬を盛られていただろう。許仲典の野性的な味覚が違和感を感じたのは偶然ではない。本能的に危機感を感じたに違いなかった。
部屋には扉はなく布一枚で廊下と隔てられている。すぐにも逃げ出すことができそうな部屋の作りに疑問を持ちながら星羅は中に入る。
「あなた!」
寝台にはやせ細った明樹が横たわっている。髪はまとめられておらず、半裸の身体に流れている。身体を縛られたまま星羅は寝台に駆け寄り、明樹に何度も声を掛ける。
「あなた、あなた」
閉じていた目を開いたが明樹の視線が定まっていない。
「う、うう」
「しっかりして、星羅です!」
「せい、ら?」
「ええ!」
「それより粥を……」
「粥?」
「うう……」
何もまともに答えてくれず、星羅のこともよくわかっていないような明樹の様子にまさかと女を睨みつける。
「怖いわ。そんな顔して。命に別状はないのよ?」
「麻薬を使うなんて……」
「拷問なんかよりもいいと思わない?」
さっきの咖哩もおそらく麻薬を盛られていただろう。許仲典の野性的な味覚が違和感を感じたのは偶然ではない。本能的に危機感を感じたに違いなかった。