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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第92章 92 バダサンプ
しばらく引きずられるまま歩き、広い寝室へと連れていかれた。柔らかい寝具が敷き詰められた寝台に、ラージハニは投げ出されるように寝かされる。抵抗しても傷つけられるだけだろうことはわかっている。ラージハニは歯を食いしばってバダサンプにされるがままになっている。
「やっと手に入れた。これで望むものをすべて手に入れた。フッフッフフ」
「王になったなら、もっと若くて美しい女をいくらでも望めるはずでしょう?」
「ああ、そうだ。国中の女すべてわしのものにできる。だがわしはお前がいいのだ」
バダサンプの這う指に嫌悪しながら、ここまでなぜ執着されなければならないのか疑問を口に出す。
「知りたいか?」
「ええ」
「わしの本当の身分はもっとも最下層の不可触民なのだ」
「え!?」
「驚いたか? 一番下どころか、人としても扱われないわしが今や国の王なのだ」
「なぜ……」
「顔が、大臣の息子と顔が似てたのさ」
バダサンプは当時ラージハニの父と政敵であった大臣の跡取り息子と入れ替わっていたのだ。
「お前をやっと手に入れた」
ラージハニに記憶はないが、バダサンプは彼女から施しを受けた。その時、バダサンプは恋をする。西国の花と呼ばれた美しい彼女に恋しない者はいないだろう。バダサンプは一生、不可触民としてゴミのような人生を送るのだと思っていたし、その生き方以外想像したこともなかった。ただ人生の岐路は誰にでも訪れる。
「やっと手に入れた。これで望むものをすべて手に入れた。フッフッフフ」
「王になったなら、もっと若くて美しい女をいくらでも望めるはずでしょう?」
「ああ、そうだ。国中の女すべてわしのものにできる。だがわしはお前がいいのだ」
バダサンプの這う指に嫌悪しながら、ここまでなぜ執着されなければならないのか疑問を口に出す。
「知りたいか?」
「ええ」
「わしの本当の身分はもっとも最下層の不可触民なのだ」
「え!?」
「驚いたか? 一番下どころか、人としても扱われないわしが今や国の王なのだ」
「なぜ……」
「顔が、大臣の息子と顔が似てたのさ」
バダサンプは当時ラージハニの父と政敵であった大臣の跡取り息子と入れ替わっていたのだ。
「お前をやっと手に入れた」
ラージハニに記憶はないが、バダサンプは彼女から施しを受けた。その時、バダサンプは恋をする。西国の花と呼ばれた美しい彼女に恋しない者はいないだろう。バダサンプは一生、不可触民としてゴミのような人生を送るのだと思っていたし、その生き方以外想像したこともなかった。ただ人生の岐路は誰にでも訪れる。