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第11章 １１　太子と王太子妃

　隆明は初夜の手筈を、乳母という名の王族専用の娼妓から教わっている。王族専用の娼妓、つまり公娼は王の正室、側室であったもので子を成せなかったものだ。
王が崩御すれば、長年の奉公をしたということで、退職金を渡される。宮中にとどまるもよし、故郷に帰るもよかった。５人の妻の中には残念ながら一人二人は子を成せない者がいる。薬師の見立てでは、王にも妻にも身体的な理由が見当たらず、相性の問題か、もっと何か理由があるのかわからなかった。
そしてその一人か二人のうち、一人は公娼となり、王子たちの性教育を行っていた。とはいえ、公娼はほとんど先々代以上、つまり祖父の代の妻なので王子たちの相手になるとき、彼女たちは老女であった。
つまり実際の性交渉を行うのではなく、ほぼ口述の講義のようである。

　代々王たちはこの公娼から房中術を教わり、跡取りを残してきた。公娼たちは口をそろえて妻を悦ばせることで子が授かると言い伝えてきた。つまり王自身が欲望を満たすことが重要ではなく、女性に快感を与えないといけないということだ。
　男と女が同じような快感を迎えることが陰陽の交わりで太極（宇宙の根源）につながるということだった。