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華夏の煌き~麗しき男装の乙女軍師~
第98章 98 王太子候補
 しばらく長男の陸明樹の喪に伏した後、陸慶明は久しぶりに王族の健診にやってきた。王の曹隆明とともに、珍しく王妃の桃華がそばにいる。初めて見る睦ましい二人の姿に慶明は驚き、明樹と星羅の若い夫婦の仲の良かった様子を思い出した。

「もう、仕事ができるのか?」

 労りのある隆明の言葉に、慶明は「恐れ入ります」と感謝の言葉を述べた。隆明は陸家のことだけではなく、胡晶鈴との間に生まれた娘である星羅のことを心配している。そのことがよくわかっているので慶明は率直に話す。

「私たちよりも、嫁が心配です。ろくに寝もせず食べもせず仕事ばかりしております」
「そうか……」
「孫のことも、構う暇がないくらいです」
「軍師省が多忙を極めておるのはわかるが」

 話が深くなるにつれ、そばにいる王妃の桃華が気になってしまい、慶明はぼかしたような話を続ける。そのことに気付いた隆明は「はっきり申してよい。星羅が朕の娘であることは王妃のみ知っておる」と桃華に視線を送る。

「ええっ?」

 驚いた慶明が、桃華に視線を送ると彼女はこくりと頷いた。いつの間に、秘密を共有するほどの仲になっていたのかと慶明は驚いた。
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